シバタ刺繍 / 暮らしをつくるしごと from 岡崎

Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎|創業94年。横振りミシンで刺繍を行う「シバタ刺繍」にお話を伺いました。

INTERVIEW

2024.04.16 UP

本記事は、無印良品名古屋名鉄百貨店のOpen MUJIスペースにて、2024年4月16日(火)〜5月12日(日)まで開催されている【Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎】のインタビュー記事です。
岡崎市の暮らしや文化を作ってきた“しごと” にフォーカスを当て、実際に仕事で生まれたものや、仕事を支える道具、仕事の風景などを写真、インタビューと実物展示でお見せします。
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創業94年の刺繍店。
横振りミシンを用いての手作業での刺繍は、愛知県では唯一、柴田さんのみができる技。店内に展示されている柴田さんのアートのような刺繍作品にも注目すべし。刺繍は1点から依頼が可能で、数が多いものは機械で、少ないものは手作業で刺繍を施す。

住所:愛知県岡崎市八幡町3丁目16
営業時間:9:00〜12:00、13:00〜17:00
定休日:土・日・祝日

取材させていただいた人

柴田治子さん(80歳)

東京・浅草出身。ご実家も刺繍店を営んでいた。18歳から刺繍を始め、シバタ刺繍に嫁いでからは、長年店を守り続けている。習字と絵画も好きで、それが刺繍の作品にも活きている。

Q1 仕事の内容を教えてください。

主に、ネーム刺繍の仕事をしています。豊田市にある大きな制服メーカーから、岡崎市内や三河地域の学校の制服や体操服、部活動のジャージなどの名前の刺繍を受けたり、企業の作業着などに会社名を入れたりしています。
だから、入学や進学、入社などを控える3月の時期やスポーツが盛んになる秋などは繁忙期で忙しく朝早くから刺繍をしています。
刺繍の方法は2種類あって、デジタルで名前や柄を機械に入力して自動で刺繍をするもの。もう一つは、横振りミシンという刺繍専用のミシンを使用した手刺繍。
この横振りミシンを使えるのは昔は普通だったのだけど、今は愛知県でもかなり少なくなってしまいました。刺繍を依頼してくれる業者さんによると、横振りミシンを使える人はほぼいないみたいですね。

Q2 あなたはどんな暮らしをしていますか?働く日の1日のスケジュールを教えてください。

<繁忙期>

5:00-9:00 横振りミシンにてネーム制作 
9:30-12:00 横振りミシンにてネーム制作
13:30-17:00 横振りミシンや機械での刺繍制作
17:00-22:00  忙しい春や秋は夜の間も機械などでスタッフが制作・梱包や糸切りの処理などを行う

Q3 一番多くの時間を過ごしている場所はどこですか? 

基本的に作業場にずっといます。長年続けてくれている、隣の家に住むスタッフと2人で作業をしていて、私自身はほぼずっと横振りミシンの席に座って一人一人違う名前の刺繍をしています。この作業は代わりが効かないので。
スタッフはその後ろで刺繍した物のいらない部分の糸を切ったり、梱包したり、コンピュータでの刺繍をしたりしています。

Q4 あなたの仕事を支える道具を紹介してください 。

横振りミシンですね。
横振りミシンは刺繍専用のミシンで、手で角度をつけながら左足でミシンを動かして、右足でレバーを微調整して刺繍の幅を変えていくかなり技術が必要な刺繍方法です。
私はこれを岡崎に嫁ぐ前から東京・浅草の実家でもやっていました。20歳になる前からです。
コンピュータで入力して自動で刺繍を量産する機械も早いですが、一つを刺繍する場合、手刺繍の方が早くできますね。
あと、仕事というよりはほぼ趣味に近いですが、この横振りミシンを使って自分で考えた絵を刺繍にしたり、お客さんから頼まれた写真のものを刺繍にしたりもしています。

Q5 仕事の中で、この土地(岡崎)ならではのことがあったら教えてください。

岡崎市内の中学校や、高校、部活動の体操服へのネーム刺繍をしています。新学期が始まる春と、冬服に変わる秋が特に忙しいです。
昔は、岡崎市内の中学高校のものは本当にたくさんやっていたけれど、今はそこまで多くは出来ないから市内の高校1校を中心にできる範囲でやっています。

Q6 あなたの作るものは、お客さんの暮らしにどう取り入れて欲しいですか。

今はプリントされたものが多く、それが普通になっているけれど、刺繍ならではの風合いや凹凸感などの表現もあるので、それを暮らしの中で服やその他で身に付けてもらえたら嬉しいです。
刺繍は、仕事というより趣味のような感覚で楽しみながら縫っているので、得意な表現の刺繍もあれば、できないものもありますから、まずは試しに相談に来てください。特に、花の刺繍ならお任せあれ。

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