AURICULER BY DAIMARU / 暮らしをつくるしごと from 岡崎

Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎|「伝統と現代を繋ぐmedium」を主題としたアパレルブランド「AURICULER BY DAIMARU」にお話を伺いました。

INTERVIEW

2024.04.16 UP

本記事は、無印良品名古屋名鉄百貨店のOpen MUJIスペースにて、2024年4月16日(火)〜5月12日(日)まで開催されている【Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎】のインタビュー記事です。
岡崎市の暮らしや文化を作ってきた“しごと” にフォーカスを当て、実際に仕事で生まれたものや、仕事を支える道具、仕事の風景などを写真、インタビューと実物展示でお見せします。
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AURICULER BY DAIMARU は、「伝統と現代を繋ぐmedium」を主題としたアパレルブランド。
江戸時代から明治にかけて広まった全国的な繊維(棉織物) ブランド、そして広く知られた三河の伝統素材である「三河木綿」を中心に、日本の伝統産業とその優れた“素材” と“価値” を見つめ直して現代に落とし込む。そうして、新たなモノ作りのカタチを模索した「衣」・「住」に纏わる製品(衣料品や服飾雑貨、インテリア雑貨)の企画、製造、販売を行う。

住所:岡崎市渡町大榎53-1(DAIMARU)

取材させていただいた人

AURICULER BY DAIMARU 代表・大竹立真さん(27)

幼少期から、曽祖父が昭和 23 年に創業した岡崎の老舗繊維卸商、 「大丸株式会社」や「おかざき匠の会」のモノ作りに携わる方達と 関わる機会が多く、三河木綿をはじめとした伝統工芸の魅力を知る。 商業高校卒業後、服飾専門学校に進学し衣服のデザイン・製作の 基礎を学ぶ。その後、福井の繊維加工工場やカナダの縫製工場で 経験を積み、令和 2 年に個人創業をする。
AURICULER BY DAIMARU 以外にも、デザイン、パターン、ソー イングまで自身で展開できるのが強みで「C.O.L.O.N.」という働き 手に着目し、クラシカルなワークウェアブランドを展開したり、 ODM( 受託開発 )、OEM( 受託生産 ) を行うなど幅広く活動している。

*ODM ( Original Design Manufacturing ) : 製造の受託者が 相手先設計から製造まで請け負うこと。
*OEM ( Original Equipment Manufacturing ) : 委託者が設 計まで行い、受託者は生産・製造のみを行うこと。

Q1 仕事の内容を教えてください。

衣料品、服飾雑貨を中心とた製品の企画、開発、製造、販売を 行っています。 自社製品と他社製品とでは作業工程は変わりますが、AURICU LER BY DAIMARU では、扱う伝統工芸品の調査→素材・加工 方法の選定→企画・デザイン→設計・開発→生産・製造→販売 ・発信の順序で行います。 企画・デザインの工程前に、職人さんの所へ赴き、扱う伝統工芸 品の素材や技術が、どんな製品、加工方法に適しているかを調査 します。

三河白木綿を扱った製品では、生地幅 38cm,42cm( 着物の反物幅 ) と限られた生地幅の中で製作可能なアイテム ( 帽子、巾着、羽織など ) を決め、様々な染色方法 ( 草木染め、硫化染、有松絞りなど ) を採 用し製品化しています。
製作協力 : 愛知県 , 大丸株式会社 / 草木染め工房しかり

越前和紙を扱った製品では、生地に和紙を定着させるプリント技術を 取り入れた洗濯可能なカットソーアイテム ( T シャツやトレーナー ) の 製品化に成功しました。
製作協力 : 福井県 , 株式会社滝製紙所 / AND FACTORY 株式会社

現在開発中の製品では、伊藤仏壇塗工店の漆職人、「伊藤広之」さんにご協力 頂き、漆塗りのブローチを飾り付けした帽子と巾着を「NUIT bien-aime」 とのコラボレーションレーベル、「額装」で 2024 年 5 月に発売予定です。
製作協力 : 愛知県 , 伊藤仏壇塗工店

伊藤広之 : 愛知県岡崎市にある伊藤仏壇塗工店で、仏壇や仏具の製造と修繕を手掛ける。 仏壇以外のものにも漆の可能性を広げる為、試行錯誤を重ね「本漆」をスプレーガンで 塗ることに成功。唯一無二の漆フィギュアの製造など、スプレーガンの技術を使い、 今までになかった第三の漆製品を作り続けている。

NUIT bien-aime : 2020 年 7 月にスタートした日本のアップサイクルブランド。 「世代を超えて愛される特別な一つ」をコンセプトに、様々な USED,VINTAGE アイテ ムを解体し、新たなモノに構築、次の世代へと繋いでいく。

Q2 あなたはどんな暮らしをしていますか?働く日の1日のスケジュールを教えてください。

<展示会開催前の準備期間>

5:00 起床・1 日のタスクを紙に書き出し、打ち合わせ資料 の確認やメールの確認などの事務作業を行う。
9:00 打ち合わせ ( 加工工場さんや職人さんなどとサンプル の仕上がりや納期の確認などを行います )
13:00 デザイン出し・型紙作成・サンプル縫製
19:00 広告物、商品撮影の下準備・ディスプレイ設計や 印刷物のデザイン、原稿作成のなどを行う
26:00 作業終了・就寝 

Q3 一番多くの時間を過ごしている場所はどこですか? 

1 日の大半は作業机を前に座っていることが多いです。
現在は 事務所改装中の為、自宅にワークスペースを作り自宅で作業す ることが殆どです。 染色やレーザー彫刻などの特殊加工は、提携業者に加工をお願 いしていますが、デザイン、パターン、サンプル縫製・量産 ( 一部製品を除く ) や仕様書・指示書の作成から撮影まで必要な 環境と体制を整えている為、作業をスムーズに進めることがで きます。

Q4 あなたの仕事を支える道具を紹介してください 。

「三河木綿」です。
三河地区の伝統工芸品や地域産業資源 として知られる三河木綿には、「白」と「縞」があり、 「三河白木綿」は、帆前掛け、半纏、股引、帯芯、足袋底、 暖簾などに用いられ、「三河縞」と呼ばれる縞柄は着物や 袋物などの三河木綿製品の代表的なデザインとして全国に 知れ渡っています。
私には伝統工芸品に深い思い入れがあります。前述の通り、 私の曽祖父は、昭和 23 年に三河木綿の卸問屋、「大丸株式 会社」を創業しています。当時の戦後復興期は業界全体が盛況 でしたが、途上国からの安価な輸入品や化学繊維の台頭により、 需要が年々減少しています。現在は、同社 3 代目である叔父が経営しておりますが、決して順調ではありません。
しかし、日本の風土、歴史や文化、持続可能性に富んだ材料や製法、 そして職人の技術の結晶である伝統工芸品の素晴らしさを、私自身 よく承知しています。
この伝統工芸の良さを広め、次の世代に継承していきたいという 想いから、AURICULER BY DAIMARU では、三河木綿を はじめとした伝統工芸の新たな需要開拓と発信を続けていきたいと 思っています。

Q5 仕事の中で、この土地(岡崎)ならではのことがあったら教えてください。

仕事柄、岡崎の職人さんとお話しする機会が多いのですが、どの職人さんも 親身に、真剣に相談に乗って頂けたり、「それなら〇〇さんのとこができるよ。」 と他の職人さんを紹介して頂けたりと、やりたい事を形にするまでがとても 早く心強いです。
それは、「商工会議所」や、岡崎の伝統的な地場産業などに携わる職人さんが 集う異業種交流勉強会「おかざき匠の会」があるおかげかなと感じています。 2005 年に開催された愛知万博の時、当時小学生だった私は、おかざき匠の 会に所属していた「三浦太鼓店」や「磯部ろうそく店」など多くの出展者の皆 さんから伝統工芸の手仕事を見せて頂いたり、実際に体験させて頂たりと、 貴重な経験をさせて頂きました。
それ以降、モノづくりをする方々との会話は面白く、その背景にある歴史を含 めてモノづくりは魅力的で面白いと思っています。

Q6 あなたの作るものは、お客さんの暮らしにどう取り入れて欲しいですか。

伝統工芸は「身近にある」と感じて欲しいです。
百年、二百年の単位で継承されてきた歴史や技術。 重要文化財に使用されていたり、博物館で展示さ れている様に、特別視されるが故に、暮らしから 程遠く感じる方も多いと思います。 しかし、すぐそばに伝統的なモノは存在します。 日常から祝いの日、忌日にまつわるものまで様々 です。
AURICULER BY DAIMARU では、「衣」として 身につける衣料品や服飾雑貨、「住」として住まい に溶け込むインテリア雑貨を提案していきます。 それらを暮らしに取り入れることで、歴史あるモノ は「身近にある」と再認識して欲しいと考えています。

AURICULER BY DAIMARU
ホームページ
https://www.daimaru.info
インスタグラム
https://www.instagram.com/auriculer_by_daimaru/
 

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