三浦太鼓店 / 暮らしをつくるしごと from 岡崎

Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎|慶応元年から代々「音」を作り続ける「三浦太鼓店」にお話を伺いました。

INTERVIEW

2024.04.16 UP

本記事は、無印良品名古屋名鉄百貨店のOpen MUJIスペースにて、2024年4月16日(火)〜5月12日(日)まで開催されている【Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎】のインタビュー記事です。
岡崎市の暮らしや文化を作ってきた“しごと” にフォーカスを当て、実際に仕事で生まれたものや、仕事を支える道具、仕事の風景などを写真、インタビューと実物展示でお見せします。
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慶応元年から代々「音」を作り続ける和太鼓屋。祭礼に使われるような、天然木をくりぬき胴をつくる伝統的な太鼓だけでなく、エンターテインメントの楽器として比較的扱いやすい桶胴太鼓まで、時代と共に移り変わるニーズに答えながら進化し続けています。製造販売だけでなく修理や張替えにも対応。日本国内はもちろん、海外からの依頼も増えています。

住所:岡崎市本宿町字丸山腰 30-9
営業時間:9:00〜18:00
定休日:不定休

取材させていただいた人

6代目彌市・三浦和也さん(44歳)

地元である岡崎市で会社員を経験後、約20年前に家業を継がれて今の仕事に。4人の息子を持つ父。

Q1 仕事の内容を教えてください。

和太鼓の製造販売や修理、張替えを行っています。

Q2 あなたはどんな暮らしをしていますか?働く日の1日のスケジュールを教えてください。

6:30 起床
8:30 仕事開始
午前 商談
午後 制作
18:00 仕事終わり

Q3 一番多くの時間を過ごしている場所はどこですか? 

太鼓には胴部分の製法の違いで、天然木をくりぬいて胴を作る伝統的製法の「くりぬき胴太鼓」と、板を複数枚組み合わせて作る「桶胴太鼓」があります。くりぬき胴は大きい太鼓を作る際その分大きな木を用意する必要があるのに対し、桶胴は板の数を増やせば増やすほど大きくできることが特徴です。
それぞれの製造割合は半々くらいですが、最近は「桶胴太鼓」の胴部分に用いられる桶を作っている時間が長いので、桶作り用の作業場にいる時間が多いです。
ひとつの太鼓を作るのには約2か月を要し、桶の製作には1週間程度かかります。

Q4 あなたの仕事を支える道具を紹介してください 。

太鼓の胴部分になる桶を作る時に使用する鉋(かんな)です。元々、桶は職人から仕入れていたのですが、今ではもう日常の中で桶が使われる文化がなくなったことで、職人がほとんどいなくなってしまったので、秋田県の桶職人の元まで修行に行き、桶作りを習得しました。その時に職人の方から譲り受けた道具を現在も使用しています。
桶のサイズに合わせて使用する鉋の型を替えています。また、桶の内側と外側でもそれぞれ「外丸鉋」、「内丸鉋」という異なる鉋を使用します。

Q5 仕事の中で、この土地(岡崎)ならではのことがあったら教えてください。

岡崎の産業は徳川家康の影響が大きく、かくいう我々も徳川家康が作り上げた江戸時代からの恩恵を受けています。例えば、太鼓と関係性の深い花火や祭の文化は、人々の喜びや豊かさを表現する目的があるんですけど、平和な時代が到来したからこそ生まれたものですよね。

Q6 あなたの作るものは、お客さんの暮らしにどう取り入れて欲しいですか。

太鼓は日常的に使うものではないのですが、日常って祭りなどの非日常があってこそ、見えてくるものだと思うんです。コロナ禍に祭りがなくなった時は、人々から人間性が失われてくのではないかと心配したくらい。だから、暮らしに常に寄り添うものではないけど、絶対に必要な文化だと思います。日常を感じるための大事な役割を、祭りと太鼓は担っているんです。

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