牧野フェルト工業 / 暮らしをつくるしごと from 岡崎
Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎|1948年創業。古着からフェルトを製造する「牧野フェルト工業」にお話を伺いました。
Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎|1948年創業。古着からフェルトを製造する「牧野フェルト工業」にお話を伺いました。
INTERVIEW
2024.04.16 UP
1948年創業。
戦後、現代表・嗣弘さんの祖母が事業を初め、父の代でフェルトの製造会社へ発展。事業当初は、反毛の原料の選別やふとんの打ち直しをしていたが、昭和40年から古着を使ったフェルトの製造を開始。ベッドのマットレスにスプリング用フェルトを作り、様々なマットレスメーカーに納めていた(アイシンのトヨタベッド、フランスベッド、無印良品など)
現在は、自動車関係のフェルトは少量で、ホテルのカーペット下のクッション材、運動マットなどの緩衝材、土木関係では河川の土手にフェルトを敷いて土砂崩れを防いでいる。
住所:岡崎市岡崎市丸山町道円24
代表取締役・牧野嗣弘さん(62)
牧野フェルト工業株式会社の2代目。
大学卒業後、滋賀県の不織布メーカーに勤務。その後父が経営していた現会社に入り、40歳で事業を引き継ぐ。現在は中部反毛工業協同組合の理事長も務める。
機械でフェルトを作っています。
反毛綿(混綿)をフリースマシーンという機械に入れると、綿をほぐして風力で積層させたものができるので、ニードルパンチ機の針で叩いて絡めながら固めます。フェルト状の製品がでてくるので、それを規定の寸法に切って梱包し出荷します。
6:00 起床(家が隣)
8:00 仕事始め/フェルトを作る機械の操作、フェルトの状態を確認
12:00 昼休憩
13:00 再びフェルトを作る機械の操作/商社との商談、中部反毛工業協同組合の会合や打ち合わせ
17:00 仕事終わり
現場管理をしているので、工場ですね。
夏は暑く冬は寒い中、朝から晩まで掃除しながら作業しています。
とにかく掃除が大切で、綿埃が詰まるなどの火が出る原因がないように気をつけています。反毛やフェルトの工場は素材が燃えやすいため、火事になるところが昔から多くて、火が出ると一気に燃え広がってしまうので、そこは本当に気をつけなければならないのです。なので、綺麗に掃除しておくことが日々の仕事では重要です。
反毛機械のフリースマシーンです。
中には50年使っている機械もあります。機械が壊れないから作る会社はどんどんなくなっているし、部品も特注なので、調子が悪くなった部品も以前とは素材を変えて作ってもらっています。機械部品は以前の倍に値上がりしているので、メンテナンスしながら大切に使っています。
自動車産業に関係する会社が多いこともあって、自動車の部品としてフェルトを使ってもらっているところです。
反毛をするために、全国から岡崎に資源が集まってくるし、反毛工場の多くも、機械メーカーもこのあたりにしかありません。あとは、西尾市で始まった木綿産業を徳川家康が岡崎で広めたので、当時は織物をしたり、糸を紡いだりする職工さんもいました。戦後に衣料が不足したこともあり、繊維の大きな工場ができた後、繊維屑を再利用して糸にしようと考えた大工さんたちが反毛機を作ったという歴史もあります。
20年前、反毛組合の50周年で作った冊子に載ってる会社の半分は辞めてしまっているけれど、当時の社会が大量生産だった頃から、リサイクルや循環型社会と言っていました。石、仏壇、繊維が岡崎の産業ではないかなと思います。
自社製品に限らず、リサイクル品を使ってみて欲しいと思っています。
うちの商品で言えば、元の布として使われた後に繊維を崩してフェルトになって自動車の部品として使われています。リサイクル品は捨てられるはずだったものが、技術によって一度寿命が伸びているわけです。違う会社の技術ですが、フェルトを固めたらテーブルの天板にできるくらい硬いものもできるので、可能性がある素材かなと思います。