鈴木反毛工場 / 暮らしをつくるしごと from 岡崎
Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎|昭和44年創業。商社からの委託で反毛綿を製造する「鈴木反毛工場」にお話を伺いました。
Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎|昭和44年創業。商社からの委託で反毛綿を製造する「鈴木反毛工場」にお話を伺いました。
INTERVIEW
2024.04.16 UP
昭和44年創業。商社からの委託で反毛綿を製造する会社。反毛とは古着や繊維を裁断した際にでるクズを綿状に戻して再利用する技術を指す。単品反毛から色混・ウール混等、多様な製綿の実績を持つ。
住所:岡崎市欠町松塚14
鈴木優介さん(48)
20歳の時に家業であった[鈴木反毛工場]に就職。
就職理由は、他にやりたいことが見つからなかったからではあるが、働くうちにこの事業を続けていく責任感が芽生える。コロナ禍から資格を独学で取得することが趣味に。宅地建物取引士と行政書士に合格し、現在は、司法書士の勉強もしている。
古着を機械に通せるように細かく裁断して、反毛して綿にしています。
回収業者が古着を回収し、その古着を専門商社が原料として納品してくれます。そして、それをフェルト屋から依頼された規格の反毛綿にして納品しています。今は主に産業資材、自動車の防音と断熱のためのフェルトの原料として使われています。以前はホテルのカーペットの軸張り用フェルトにも使われていました。
そして、機械整備とメンテナンス、掃除も大切な仕事です。繊維を扱うので、何よりも火災に気をつけなければなりません。いつも火の元を確認し、金属摩擦で火がくすぶる可能性がないかを確かめた後に帰宅しています。
6:00 起床、朝食
7:30 工場入り
8:00 機械運転開始/古着裁断作業
12:00 昼休憩
13:00 反毛機械作業
18:00 作業終了/片付けと清掃と機械メンテナンス
19:00 出火がないことを確認して仕事終わり、帰宅
反毛機の前です。
出来上がった反毛は1本(100kg)15分くらいで詰め終わるのですが、匂いや音で機械に異変がないかを常に確認しています。
反毛機、リフト、裁断機といった機械たちです。
これを使って新しい製品の試作もしています。依頼をされて1つでも生産ラインに乗ると技術が認められたんだなと嬉しく思います。
ボツになった案ですが、ケナフという植物繊維を反毛で綿状にして固める試作をしたこともあります。内装ボードにするとのことで、硬くても柔らかくてもダメだったので、とても難しかったことを覚えています。ただ、新しいものに挑戦するのは楽しいです。
昔からガラ紡が盛んな地域だったことが会社の創業につながっています。
反毛はSDGsやリサイクルという言葉が生まれる前に始まった技術で、大正元年から100年以上続いている反毛会社もあります。
うちは、戦後すぐに祖父が手製の機械でガラ紡をやっていたので、糸の原料になる綿を作るために反毛も始め、父も手伝い出しました。縫製で出る裁断屑を原料にして白い綿を作り、紡績屋に納めて糸にしたものが軍手や靴下になっていましたが、2000年頃に中国に繊維工場の移転が相次いで裁断屑がでなくなったので、古着をリサイクルできないかと試作して今にいたります。古着から作ると綿の色は灰色になるんですよね。
当時は近隣で紡績屋が2軒、うち含めすぐ近くにも反毛屋が3軒ありましたが、いま残っているのはうちだけです。昔は岡崎市内で反毛屋は100軒以上あったと聞いています。
外からは見えないので、気づいたら暮らしの中にある感じだと思います。
例えば、車の内側に使っている産業用資材の反毛フェルト。これは断熱効果があるだけでなく、エンジン騒音や地面からのロードノイズ(タイヤが路面の凹凸を乗り越えることで発生する騒音)を抑えています。電気自動車になっても、周波数騒音などがあるので反毛フェルトは必要になってきます。
他にも河川敷の工事で、水捌けの悪い場所のための給水マットとして、地面の中にフェルトを入れられているところもあります。
そういった暮らしを支えるフェルトの原料である反毛綿を作っています。