富岡屋 / 暮らしをつくるしごと from 岡崎

Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎|明治45年に創業した町の豆腐屋「富岡屋」にお話を伺いました。

INTERVIEW

2024.04.16 UP

本記事は、無印良品名古屋名鉄百貨店のOpen MUJIスペースにて、2024年4月16日(火)〜5月12日(日)まで開催されている【Exhibition 暮らしをつくるしごと from 岡崎】のインタビュー記事です。
岡崎市の暮らしや文化を作ってきた“しごと” にフォーカスを当て、実際に仕事で生まれたものや、仕事を支える道具、仕事の風景などを写真、インタビューと実物展示でお見せします。
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明治45年に創業した町の豆腐屋。工場内には販売スペースがあり、購入時に作りたての豆腐を水槽から掬って出してくれる、昔ながらのスタイル。オススメは三河産のフクユタカという品種の大豆を使った「寄せ豆腐」や「ゆばおぼろ(湯葉豆腐)」。そのほか「豆腐カツ」、「お豆腐コロッケ」なども並ぶ。

住所:愛知県岡崎市亀井町2-6
営業時間:8:00〜17:00
定休日:日曜日

取材させていただいた人

平川裕二さん(69歳)

大学時代から兄に誘われて家業である豆腐屋を手伝い始め、大学卒業後に家業を継ぐ。
休日に釣りをするのが好き。

Q1 仕事の内容を教えてください。

主に、豆腐の製造・配達・販売をおこなっています。
豆腐の作り方は、
①大豆を水に浸す
②水を抜いて臼で潰す
③回転させながら圧力をかけて煮る
④一度、温度を115℃に上げて雑菌を殺す
⑤100℃に落としておからと豆乳に分ける
⑥豆乳に凝固剤(硫酸カルシウムやにがり)を混ぜて型に流すか、充填する
⑦機械でカット
⑧パック詰めと包装を終え、完成です。
スーパーなどで売っている豆腐の多くは、ボイルするなど基本的な作り方が違うのでだいたい30日ほど日もちしますが、うちで販売しているものは10日間ほどしかもちません。消費期限が短いので、地元の学校や幼稚園、スーパーには配達もしています。

Q2 あなたはどんな暮らしをしていますか?働く日の1日のスケジュールを教えてください。

5:00 出勤
5:30 ボイラーを炊く
6:30 専務は配達開始。スタッフは店で売るバラ豆腐、絹ごしの寄せ作業、にがり100%の豆腐をつくる。最初につくる豆腐の一、二個目は湯葉用豆乳をつくる。(濃度が薄くないと綺麗できない)生揚げを揚げる。
8:00 配達終了
8:30 厚揚げ、湯葉の製造
13:00 油揚げ、がんもの製造
15:00 翌日用の大豆を水でふやかしておく
〜17:00 スタッフは店舗での販売と片付け

Q3 一番多くの時間を過ごしている場所はどこですか? 

以前は大手のスーパーにたくさん卸していたから配達がとても多かったけど、今は配達が減ったこともあり、作業の工場にいることが一番多いです。
朝一番に、配合等が繊細で難しい国産にがり100%の豆腐作りから始まります。

Q4 あなたの仕事を支える道具を紹介してください 。

「寄せ機ワンツー」という器具です。にがり100%の豆腐を作る際ににがりと豆乳を混ぜて豆腐にする機械ですが、このおかげでだいぶ作業が楽になりましたし、作る人による豆腐の仕上がりの個人差が比較的少なくなりました。
この器具がなかった頃は、大きなしゃもじを自分で削って作った櫂(かい)を使って、豆乳とにがりを混ぜていたので、2〜3時間も力を込めながら作業するのは一苦労でした。

Q5 仕事の中で、この土地(岡崎)ならではのことがあったら教えてください。

賞味期限が短く、遠くに運ぶことができないものなので、学校給食や保育園に配達して地域の子どもたちに食べられることですね。
また、近所で開かれる朝市「二七市」に訪れた人が、そのままうちの店にも寄ってくれることがあります。スーパーにも豆腐は売っているのに、わざわざこの店に買いに来てくれて「ここの豆腐が美味しい」と言ってくれるのは嬉しいし、この地域でやっている意味があり、やりがいを感じます。

Q6 あなたの作るものは、お客さんの暮らしにどう取り入れて欲しいですか。

豆腐を一番味わってもらえるのは、そのまま食べていただくことだと思います。 そして、豆腐は味が淡白だから、煮たり揚げたり、焼いたりして自分好みに食べてもらうこともできます。オリーブオイルと塩で食べるのにはまっているというお客さんもいました。栄養価も高くて優秀な食べものなのでぜひ好みの食べ方を見つけて、日々食べていただきたいですね。

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