遠くに行くだけが旅行じゃない。育児中の岡崎市民による「ANGLEベビーシッター付き宿泊プラン」体験記

子育ての日々に、ちょっとした休息を。フリーランスライター・前田智恵美さんによる、ANGLEの「ベビーシッター付き宿泊プラン」体験記をお届けします。

COLUMN

2024.12.07 UP


子どもはかわいい。でも、毎日なんとなく閉塞感がある。

わたしは現在、岡崎市内で4歳児を育てながら、フリーランスのライターとして働いています。取材で名古屋や県外に出ることもありますが、基本的には在宅で仕事をする日々。毎日の大半は、家と保育園への送迎だけで完結します。

会社員の夫が帰宅するころには、育児と家事をひと通り終えて、子どもと一緒にベッドで寝落ち。夜中に目覚めても起き上がる気力はなく、スマートフォンで漫画を読み、翌朝、寝不足を後悔する。

隣で眠る子どもの寝顔を見ながら、この小さくてかわいい存在を1日生かしただけでもすごい偉業だと自分を肯定してみるものの、どこかに拭えない虚しさがある。 

そんなある日、ANGLEスタッフであり、愛知を拠点にシッターサービスを展開する「らららキッズ」のベビーシッターでもあるゆりちゃんから「ベビーシッター付き宿泊プランの体験レポートを書きませんか?」と連絡をいただきました。

ANGLEの「ベビーシッター付き宿泊プラン」とは、「らららキッズ」と提携して、滞在中に3時間まで子どもを預かってもらえる宿泊プランのこと。SNSでこの存在を知ったとき、なんてすてきな企画なんだろう!と思っていたので、即座に「ぜひ!」とお返事しました。

ということで、前置きが長くなりましたが、ここから「岡崎市民が子連れでANGLEに泊まって、ベビーシッタープランを利用してみた」体験記をお届けします。

宿泊当日は16時半ころ、保育園に子どもを迎えに行って、そのままチェックイン。「今日、ここにお泊まりするんだね!」と興奮気味の4歳児を連れて、この日シッターを担当してくれるゆりちゃんに客室を案内していただきました。

ANGLEにはエレベーターがないため、持参したベビーカーは1階フロントに預けました。客室エリアは土足厳禁なので、スリッパに履き替えてから階段を上ります。これは、床にはいつくばることもある乳幼児連れにとっては、衛生的にうれしいポイントです。

階段は広くないですが、子どもにとっては特別感があって楽しかったようで、嬉々として階段を上り下りしていました。

宿泊させていただいた部屋は、301号室でした。ベビーシッター付きプランでは、基本的に3階の301号室か302号室のツインルームを手配してくれるそうです。これは、宿泊者用の共同スペースが2階にあるため、他の宿泊客が気になりにくいこと、3階のテラスへアクセスしやすいことなどの理由からなのだそう。子連れ目線の配慮がありがたいです。

シッタープラン利用にあたっては、まず開始時間前に担当シッターと顔合わせを行い、お互いの自己紹介や子どもの体調確認、託児の流れなどを共有します。なお、希望すれば事前にオンラインでの顔合わせも可能とのことです。

今回の体験では、託児時間中にゆりちゃんと子ども、わたしの3人で軽く食事を取りましたが、必要であればミルクや離乳食、お弁当を持参して食べさせてもらうこともできます。それ以外にも、入浴補助や寝かしつけなど、希望に応じた柔軟な対応をしてくれるそうです。

我が家の4歳児は警戒心が強いタイプなのですが、食事の間にすっかりゆりちゃんと仲良くなっていて驚きました。食事を終え、ふたりが「籠田公園に行こう!」と手をつないで歩く後ろ姿を見送りつつ、わたしの自由時間がスタートです。

子どもを預けている間、わたしは産後初、念願の「ひとり飲み」へ出掛けることにしました。向かったのは、妊娠前にときどき行っていたオーセンティックバーです。もちろん子連れでは行けない、喫煙可の、至極落ち着いた雰囲気のお店です。カウンターチェアに座り、ハイボールをお願いすると、わたしのためだけに作られた1杯が目の前に。

平日の夜、普段なら育児タスクに追われている時間帯に、ひとりでバーでお酒を飲んでいる。なんて贅沢、なんという非日常感。うわぁ、めっちゃ楽しい。

高揚したまま壁一面に並ぶボトルを眺めていると、以前読んだ小説の一節がふと頭に浮かびました。その主人公が飲んでいたのが、林檎がまるごと1個瓶に入ったカルバドス。それを思い出して、2杯目は、カルバドスを使ったカクテルを注文してみました。

好きだった小説も、飲みたいと思っていたお酒も、すっかり忘れていました。でも、それらは消えたわけではなく、自分のなかにそっと残っていた。そう気付けたことに、心の奥からふつふつと静かな喜びが湧いてきました。

ANGLEに戻ると、子どもはゆりちゃんの膝の上に座って折り紙をしていました。「まだバイバイしたくない〜!」と別れを惜しむ姿を見て、子どもも楽しい時間を過ごせたのだと安心しました。

託児終了後にゆりちゃんが送ってくれた報告レポートには、託児中の子どもの様子が詳細にまとめられていました。子どもが通う保育園には連絡帳がないので、客観的に子どもの様子を教えてもらえるのは新鮮でした。

その後、晴れていればテラスで過ごしたかったのですが、あいにくの雨。2階でシャワーをすませ、部屋でのんびりと過ごしました。一緒に絵を描いたり、折り紙をしたり、お話をしたり。

普段から子どもと一緒にいる時間は長いはずなのに、家ではタスクが多すぎて、つい会話がうわの空になることも。こんなふうに、何の気兼ねもなく子どもとじっくり向き合うことは、意外となかったかもしれない。

子どもの成長をひとつも見逃したくないと思うのに、忙しい日々の中ではいろいろなものがこぼれ落ちてしまう。だからこそ、子どもとゆっくり過ごせる時間を意識的に作っていきたいなと思いました。

ちなみに、ANGLEの客室はベッドフレームと小上がり、デスクが一体化した独特のデザインになっています。子連れでホテルに宿泊する際は、子どもがベッドから落ちないかという不安がつきものですが、ツインルームでは大きなベッドフレームの上にマットレス2つが横並びになっているので、ぎゅっと寄せて連結することでダブルベッドのようにして眠ることができました。

このマットレスの寝心地が想像以上によく、子どもは一瞬で夢の中へ。子どもが眠った後、わたしは2階の共同部でお茶をいれて部屋に戻り、窓から外の景色を眺めてぼんやりしました。初めての角度から見るまちは、知っているのにどこか違う印象で、パラレルワールドに迷い込んだような、なんだか不思議な気分でした。

翌朝のチェックアウト後は、子どもと一緒に「écumer ハナレ」のガレットモーニングをいただきました。

なんだか気持ちがすごく元気で、視界は10時間寝て起きた朝のようにクリア。「はやく籠田公園に行こう!」という子どもの声に、はいはーいと答えながら、心も体も確実にリフレッシュしていることを自覚しました。

調べてみると、今回わたしが体験したような、あえて近場のホテルに泊まる旅行スタイルは「ステイケーション」と呼ばれ、海外ではすでに普及し、国内でも注目されているそう。移動の負担が少なく、ふと思い立ったときに行ける気軽さは、子連れにぴったりの旅行スタイルではないでしょうか。

「こんな選択肢があるんだ」という解放感を持ち帰ることで、日常に戻ったあとも日々の忙しさが少し軽く感じられました。また近いうちに、子どもと一緒にステイケーションをしに来たいな、と思います。

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ゆりちゃん、すずかさん、アングルのみなさま、ありがとうございました!

執筆・撮影:前田智恵美(フリーランスライター)

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