「正しさ」よりも「楽しさ」を|「かえるの遠足」を振り返って
2026年3月8日に開催された「かえるの遠足」の振り返りレポート。ANGLEマネージャー・すずかが、卒論の執筆とイベントの準備・企画を通して見えてきたこれからのテーマについて、等身大の言葉で書いてみました。
2026年3月8日に開催された「かえるの遠足」の振り返りレポート。ANGLEマネージャー・すずかが、卒論の執筆とイベントの準備・企画を通して見えてきたこれからのテーマについて、等身大の言葉で書いてみました。
REPORT
2026.03.14 UP
私の卒業論文の主テーマでもある「かえる舎」。調査のために現地へ通う中で、かえる舎の魅力をより多くの人に知ってほしい!という想いがつのり、私自身の活動と卒論を掛け合わせた一日を企画しました。
第1部のワークショップには11名、第2部のトークイベントには23名の方が参加してくださいました。どちらも想定を上回るにぎわいとなり、感謝の気持ちでいっぱいです!

第1部の「まるまるマップづくりワークショップ」には、年中さんから高校3年生まで、13歳の年の差がある子どもたちが集まってくれました。中には、遠く岐阜から電車を乗り継いで参加してくれた子も。

講師はイラストレーターの山本ひかるさん。ひかるさんは、ANGLEの「暮らしかんこうマップ」の作者であり、同時にかえる舎とともに中学生とのマップづくりを長年続けてこられた方でもあります。
そんなご縁もあって、「ひかるさんに絶対お願いしたい!」と思い相談してみたところ快く引き受けてくださいました(ありがとうございます!)。

まずはみんなで康生の商店街へ。街歩き中、床に座り込んでメモをする子、看板の表記を1文字ずつ丁寧に写す子、あるいは商店街の並びの良さを絵に描く子。
「こんなのがあったよ!」と教えてくれる情報には、この街で4年働く私も知らないものもあり、子どもたちの鋭い着眼点には驚かされるばかりでした。


ANGLEに戻ってからは、街歩きで集めた情報をかき込み、レッツマップづくり。

なお、今回みんなでつくったマップは、ひかるさんのご好意により実際の紙面になります。
2026年6月開催予定の「ANGLE6周年イベント」にて配布しますので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
参加してくれた子どもたち、ご協力いただいた保護者の皆さま、そして講師のひかるさん、本当にありがとうございました!

第2部のトークイベント「こういう教育が好きなんだよね」には、卒論の研究対象である「かえる舎」代表のかずまさんと、私が週に1度働いている造形教室「岡崎ぎゃざ」の樋口さんをお招きしました。

おふたりをお呼びしたのは、卒論を書く中で見えてきた「構造の違い」がおもしろいと感じたから。「非営利 / 高校生メイン」のかえる舎と、「営利 / 年長〜中学生メイン」のぎゃざ。このふたつの現場を比較することで見えてくる「環境づくりの違い」を、深掘りしてみたいと思いました。
まずはかずまさんから、かえる舎の活動紹介と10周年記念動画の共有。続いて私から、富士吉田市の皆さんに多大なご協力をいただいて完成した卒論、「かえる舎による地域と協働した探究学習の活動が、高校生の郷土愛醸成に与える影響について」の発表をおこないました。

伝えたい想いがあふれすぎて、気づけばここまでで1時間半が経過! 肝心のクロストークの時間が大幅に短くなってしまったのは、主催者として大きな反省点です。おふたりのお話をもっと聞きたかったはずなのに……申し訳ありません……!!(猛省です!)。

ここからは、トーク内で話せなかったことです。
私は、教育には正解がないと思っています。今じぶんたちがつくっている環境が、未来のなにに繋がっていくかなんて、誰にもわからない。だからこそ、今回のトークのタイトルは「こういう教育が好きなんだよね」にしました。

「正解がない」というのに加えて、「それぞれにそれぞれの役割がある」という側面もあると思っています。
かえる舎もぎゃざも、「儲かりにくい」と言われている教育業界において、じぶんたちが信じるものをスタッフ間で共有し、外部を巻き込みながら、活動が続いていくように。見えないところで努力をしながら、泥臭く踏ん張っている。
時間は短くなってしまいましたが、2組の「信念」のようなものの雰囲気が、おふたりの生の声から、少しでも伝わっていればいいなと願っています。

トーク終了後にはたくさんの方が会場に残ってくださいました。ぎゃざやかえる舎の物販コーナーに並んでくださる方、熱心に質問を重ねる方、そのままぎゃざの教室まで実際に歩いて見学に行く方……。
「卒論おもしろかった!」「今日のイベントに来てよかった」 そんなあたたかい声をたくさんいただき、初めてのトークイベントを終えて、至らない点はたくさんあったのですが、「ああ、やってよかったな」と心から救われる思いでした。

そして、今回のイベントを象徴するのがメインビジュアルです。 手がけてくださったのは、ANGLEのロゴなども担当してくださっているデザイナーの浦川彰太さん。浦川さんもまた、かえる舎さんともお仕事をされている縁のある方です。
最初は、グラフィックでバナーを制作してくださっていたのですが、送られてきたメッセージにはこうありました。
「かえる舎のゆるい雰囲気を通して、すずかちゃんの門出と覚悟を表現しています!(ボーイスカウトのワッペン風です)」 さらに、「あと1週間待ってもらえたら、これを実物のワッペンにします」という提案が。
「イベントのバナーで、ワッペン……??」となりながらも、お願いしてみることにしました。そうして届いたのが、こちらです。

また、添えられていたお手紙には、こう書かれていました。
「ワッペンにすることで、どういう効果が見込まれるかは、実際よくわかりません。でも、その『よくわからない感じ』が面白いと思っていて、そういう雰囲気をつくれるかが大事だと思っています。
これからの活動において、大きな選択をする時が何度も来るはずです。そういう時こそ、あまり肩に力を入れずに、楽しそうな方を選択してみてください。そうすれば、きっと続いていくと思います」
この言葉は、私がかえる舎を研究する中で見つけた、ある考えとも重なりました。かずまさんが取材時におっしゃっていた、「『正しさ』だとぶつかっちゃうからね。『楽しさ』が一番だよ」という言葉です。
根がものすごく真面目で、どこか頑固なところがある私。 じぶんの力ではどうにもならない街の変化を受け入れられなかったり、「これが良い!」と思ったものに真っ直ぐすぎるあまり、そうでないものに対して冷たくなってしまったり……。
無意識のうちに「正しさ」が軸になってしまう私は、浦川さんやかずまさんの言葉に、背筋がしゃんとする思いがしました。
今春、私は大学を卒業し、4年働いてきたANGLE(合同会社シテン)に新卒で入社することを決めました。
「効率命」な私の性格からしたら、もしかしたら大企業に勤めるのが向いていたかもしれません。教育体制もまだ整っておらず、思い通りにいかないことだらけの今の環境。正直、それを手放しで「楽しい!」と思えるほど器用でもありません。
でも、もしこっちを選んでいなかったら、「効率の良さ」を重視するあまり、多分大事なものを手からこぼしてしまうような人生になっていただろうな、とも思うのです。
浦川さんのいう「よくわからない感じを面白がる」ことや、直感で楽しそうな方を選ぶ大切さも、きっと知らないままだった。効率重視で真面目すぎるじぶんの良さは残しつつも、どうやってまるく柔らかく、楽しんでいくか。それがこれからの私のテーマな気がしていて、その先にどんな景色が待っているのか。今はそれを、一歩ずつ手探りで見ていきたいと思っています。

今回のイベントは、本当にたくさんの方の協力があって実現した一日でした。かえる舎のかずまさんをはじめ、卒論執筆に協力してくれた富士吉田の皆さん、山本ひかるさん、ぎゃざの樋口さん、浦川さん、そして、ANGLEオーナーの飯田さんをはじめスタッフのみんな。皆さんのおかげで迎えることのできた日でした。
ここANGLEで、宿泊業と地域の編集事業、そしてもうひとつの軸として「教育」にも取り組んでいけるように。これからのたいらすずかも、見守ってくださると嬉しいです。

(トーク中、胸元にはワッペンを。そしてこのジャケットは樋口さんたちが「人前に立つことが増えるだろうから」と贈ってくださった一着です。皆さまのような、かっこいい先輩に私もなります……!!)
文/たいらすずか
写真/飯田圭

「正しさ」よりも「楽しさ」を|「かえるの遠足」を振り返って
2026年3月8日に開催された「かえるの遠足」の振り返りレポート。ANGLEマネージャー・すずかが、卒論の執筆とイベントの準備・企画を通して見えてきたこれからのテーマについて、等身大の言葉で書いてみました。